本を読むのが好きだ。
それには、明確なきっかけがあった。
ある本を読んで、「何これ、おもしろい!」と、ぐっと本の世界に引き込まれた瞬間があった。
その時のことを今でもありありと覚えている。
その本は、吉本ばななさんの『TSUGUMI』という本。
当時通っていた塾で、この本の1章目が教材になった。
確か中学校2年生、だったと思う。
教室の壁の色。自分が座っていた席。先生の声。今でも思い出せる。
本の題名にもなっている『TSUGUMI(つぐみ)』は、病気がちな美少女。
本から引用すると、
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“つぐみは生まれた時から体がむちゃくちゃ弱くて、あちこちの機能がこわれていた。医者は短命宣言をしたし、家族も覚悟した。そこでまわり中が彼女をちやほやと甘やかし、(中略)彼女は思い切り開き直った性格になってしまった。(中略)つぐみは意地悪で粗野で口が悪く、わがままで甘ったれでずる賢い。”
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まさに、キレイだけど、癖のある女の子。
そのような状況からか、“つぐみ”に対しては誰しも腫れ物に触る感じだった。
でも、ある出来事で、主人公である“まりあ”が“つぐみ”に激怒。
その時に言い放った言葉がこれ↓。
『こんな腐ったことやってるヒマしかないなら 今すぐ死ね、死んでいい。』
この一言は、私にとってすごく衝撃的だった。
私だったらやっぱり病気がちな“つぐみ”に遠慮して、本気で怒れなかったんじゃないかな。
遠慮というか、それは憐れみかもしれない。
みんながそうやって接しているのが“つぐみ”にも伝わっていて、
だからこそ前述のような性格になってしまったんじゃないかな、と想像する。
まりあのその一言が、私の想像していたものとは全然違くて
それが私の本への興味スイッチをすごい勢いで押した。
だって、自分では知り得ない感情や考えに出会ってしまったから。
これをきっかけに、吉本ばななさんの本を片っぱしから読んだのはもちろんのこと
さまざまな本を読んでいった。
このコンテンツでは、過去に読んだ本、最近読んだ本の中で
おもしろかったものを紹介していこうと思っている。
小春でした。
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